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執筆者の写真odorusakana

イメージと実態


ついさっき、5日ほど前に刺さっていたトゲが抜けた。

腫れている皮膚に黒い点があって、それが気になっていて触っていたら、

「ぴゅっ」とトゲが膿ごと飛び出してきた。

からだはよくできている。

昨日、藻谷浩介さんの話を聞く機会があった。

起きているのは「少子高齢化」ではない。

子供の数が減り、結果として労働者人口が減り、退職者が増えている、それだけ。 退職者が増えているのはその世代の人口が多く、また寿命が延びたから。

子供の数が減っているのは親世代が子供を産もうと思わない環境にいるから。

その環境を作ったのはだれか。

今いる退職者やもうすぐ退職する人たち。

だから、若い人たちは大変ねぇ。じゃなくて、自分も当事者で、

若い人たちが子供を産もうと思う環境を作っていかないといけない。

(僕個人的には、自分の蒔いた種を刈り取りつつそれをうまいこと発酵させて、

どうにか生き延びる作戦を若い人たちと相談しつつ練っていただきたいが。)

藻谷さんの分析は的確だ。

「物事をイメージではなく実態で見て語らなければいけない。」

そう彼は言う。

では、実態がつかめていない場合はどうすればいいのか。

実態がつかめていないという実態を認め、

実態をより正確に把握しようと努めるに限る。

少なくとも僕はそう思っている。

はっきり言う。身体の実態は掴めていない。(学問的には)

それはおそらく人が生命体だから。

宗教的にタブー視されてきたことも関係あるかもしれないが、

それでももっぱら進んでいたのは死体の解剖。(つまり解剖学)

生きている身体の構造やその特性は遅れをとっている。

先日出会った物理学者の方によると、物理学の世界でも生命は難解なよう。

そこらに転がっている石ころや流れている水と 同じ物理原則が働く世界に存在するにもかかわらず。

身体に関しては、もしかしたらサーカスパフォーマーやダンサー、武道の達人、

はたまた忍者なんかはすでに色んなことを発見しているのかもしれない。

でも、それは門外不出だったり、

あるいは小さい頃から刷り込まれているから当たり前すぎて説明できなかったりで、

部外者と共有できなかった。

あるいはその必要もなかった。

だから学問として発展しようがなかったんじゃないかと僕は思っている。

ダンスを20歳で始めたとき、先生たちの言ってること(使ってる言葉)がちんぷんかんぷんで、

身体をどう扱っていいかがよくわからなかった。

少しでも意味がわかる言葉をしゃべっている人のところに習いに行った。

それがたまたま大学で授業を受けていた近藤良平さんで、

彼も大学生からダンスを始めている。

それからしっかり身体のことを学ぼうとして海外に行き始めたが、

感覚的に理解できた人たちはみな太極拳やなんらかの柔術をやっていたり、

ダンス言語だけで身体を理解しているのではない人たちだった。

自分の理想とする踊りを踊るのに必要な身体の扱い方というのは

どうやら自分で編み出すしかないと気づいて身体のことを調べ始めたら、

なんか分かっていないことが多すぎると気が付いた。

すげー身体をした先輩方が自分の周りだけでもたくさんいて、

身体のことなんて研究され尽くしていると思っていたのに。

イメージって恐ろしい。

その間違ったイメージのなかで身体を扱うのではなく、

少しでも実態を掴もうと、

勝手に周りにいる人たちを巻き込みつつと身体のことを考察し始めて2年が経った。

でもそれは踊りたい踊りを踊るためであって、

スポーツトレーナーやセラピストや先生になりたくてやっているわけではない。

だけど、そういう仕事に携わる人たちとも一緒に考えたりすることが

少なくとも価値があることだと思えるようになってきたし、

そこで発見してきたことが、ダンサーだけでなく主婦の人やパソコン仕事をしている人にも、

おじいちゃんおばあちゃんにとっても、意外と大事なことかもしれない、

そう思えるようになってきた。

僕が自分で全てをやろうともできるとも思ってないし、

なんなら誰かがやってくれたらなぁと思っているし、

たぶん自分がある程度満足したら今やっている研究はやめると思う。

(また別のことを研究しているかもしれないが。)

自分の創作活動に必要だからやっている。

だけどその研究結果が他の誰かにとっても面白かったとしたら、

その人たちに少しだけ支援してもらえないかなぁ…。

支援といっても500円でもいいし、

イベントに参加してもらえるだけでもいいんだけどなぁ。

というのがこれから一ヶ月ほどかけてやろうとしている、

西日本ツアー「ノルウェー行きが決まったけどお金足りないんで助けてください(仮)」

なのです。


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