最近、「発生」(生物の受精卵が胚になって、哺乳類だと胎児に成長してとかってやつ)
に関する本を読んでいたら、その語源が"develop"で、
"de-"「取り除く」と "velop"「 べール・覆い」、
つまり「ベールを剥がす」ということなんだという記述があった。
発生を差す語が転じて成長とか発達を意味するようになったらしい。
ということは、そこに既にあるものの覆いを取り除くというのが、
「生まれる」とか「成長する」とかの定義になる。
内側から外側に膨らんで、外側の覆いを突き破って成長していく、そんなイメージか。
間違っても、外からパーツを付け足していくのではない。
2年ぐらい前から、人の骨格が前後対称にできているのかどうかが気になっていた。
骨格が左右対称なのはわかるけど、頭と尻尾が対で両手と両足が対になって成長して行ったのか、
植物が芽を出して双葉を出して次にもう二枚と成長するように尻尾→頭と成長して行ったのか、
どっちなんだろうかと。
でもこれは愚問だったのかもしれない。
生物は、単細胞の受精卵が分裂を繰り返して成長する。
1→2、2→4、4→8というように細胞の数を増やしながら身体は徐々に膨らんでいく。
そのとき、かなり初期の段階で頭側と尻尾側、腹側と背中側が決まるらしい。
そして、その各部位にあたる細胞が、自分の決められた「運命」(発生学ではそう呼ぶらしい)
に従って定められた方向へ移動し、定められた器官になるべく分裂を繰り返す。
なので、頭が出来た時点で尻尾ができ、腹が出来た時点で背中ができる。
もちろんその逆も然り。
頭から尻尾が生えるわけでも尻尾から頭が生えてくるわけでもなく、
頭としっぽは同時にできるのだ。
胚(あるいはもう少し成長の進んだ胎児)の成長過程を観察した図を見る限り、
頭と尻尾、腕と脚に成長する部分はそれぞれ対を為すように同時にできてくる。
また、できたばかりの短い腕(の赤ちゃん)の中にも既に、指になる部分・肘から手首にかけての
二本の骨になる部分・上腕骨になる部分、と分かれている。
それが外へ外へと成長して、外から見ると膨らんで伸びていって、それぞれのパーツが出来上がる。
だから、ヒトに限らず生物の身体は、中心(点or軸)から外側へ伸びていくラインがある、
といえるかもしれない。
からだの扱い方を探っていて、ただ腕を持ち上げたりするよりも、指先がどんどん遠くへ伸びていくイメージで腕をあげると楽だったりするのが不思議だなと思っていたけど、この辺りにヒントがあるのかも。(右図の感じ)
同じように、立ち上がるときに脳天(背骨の延長線上)を少し押されているイメージで、その押されている点に向かって軽く伸びていくイメージでからだを扱うと、お腹あたりがほぐれて呼吸がしやすくなり、胴体が収まりのいい位置にくる。ただし、二本の足で立っている時は。死んだクワガタみたいに仰向けで手足を縮めていると、この背骨の伸びる感じは得られない。
ところが、かかとを脚の付け根から遠ざけようとすると、
または、かかと⇄ひざ⇄脚の付け根のラインをなるべく長くしようとすると、
立っている時に似た感覚がからだの中に起こる。
ひざの伸び具合や、かかとと脚の付け根を結んだ直線距離ではなく、
かかとから脚の付け根をたどった時の「道のり」の長さが問題になる。
だから、片方のかかとから脳天そこからまたもう片方のかかとまでの逆V字ラインを
少し張ろうとすれば(道のりをながくしようとすれば)、からだの収まりが良くなる。
そして、両腕と尾骨を動かすのが楽になる。
(肩甲骨周りの筋肉と骨盤底筋群あたりが緩むとでも言うのかな?)
このこのあたりはBMC(Body Mind Centering)というメソッドが得意な分野らしく、
足-足-頭を結んだ三角形をピンと張る肩関節と尻尾が楽に、
手-手-尾骨の先を結んだ三角形をピンと張ると股関節と首が楽になる、
というのを以前教えてもらった。
この時も、「三角形をピンと張るというのは直線である必要はなく、カーブを描いていてもいい」
とMaryska Bigosおばあちゃんは言っていた。 さて、本題はここからで、地面と脳天のラインを長くすれば(=ピンと張れば)身体は安定するのか。 否。 地面が揺れたら身体が吹っ飛んでしまう。 だからピンと張りつつ地面を掴んでいなければならない。 だけど今日はここまで。 次回に続きます。