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生きたヒトの身体の構造


解剖学者の養老孟司さんによると、解剖学とは死体を研究する学問なんだそうだ。

20年ほど前に書かれた文章だったので、もちろん現在の解剖学の最先端とは異なる。

しかし、少なくともこうは言えそうだ。

20世紀の解剖学は死体を扱う学問だった。

それじゃあ21世紀の解剖学ってなんだろう。

それは、「生きたヒトの身体を扱う学問」なんじゃないかと思っている。

そんなことは今の解剖学の世界ではおそらく常識で、

筋膜とかに注目し始めた時からテンセグリティを扱っているんだろう。

(テンセグリティについてはググると説明も写真も出てくるので割愛)

じゃあテンセグリティってなんなのか。

たぶんまだ誰もわかっていない。

だけど、少なくない人がこれは何か重要らしいと気がついている。

ほいで僕はこれが生きたヒトの身体の基本構造だ、とかなりぶち上げた仮定をしている。

構造自体は何十年も前に発見されていたけど、

ホモ・サピエンス全体(それか西洋文化の学問)が扱い切れなかった。

その理由は、おそらくこれが、

1次元(点と線)→2次元(線と平面)→3次元(面と立体)

という順番で考えていたらいつまでたってもたどり着かない構造だから。

おそらく、三次元の立体を作るのに面(壁)は必要ない。

テンセグリティ構造の代表的なものは正〇面体とかにそっくりな構造をしている。

例えば柱が6本で綺麗に組み立てられるもの(上の写真)は正二十面体に見えるけど、

いくつかの辺が足りなかったりする。

でもそれは辺が足りないのではなく、その構造(形)を作るのに実はその辺が必要ない、

さらに言うと、正二十面体のにある辺のほうが余分、ということなのかもしれない。

(もっとも、建築用語としてのテンセグリティ構造の定義は、

その形を作るのに一番材料が少なくて済む構造ということになっている。)

そうやってテンセグリティ模型を眺めていると、

この物体に面なんてないんじゃないか、と思うようになった。

輪ゴムが作る三角形は確かに面だけど、実際そこに存在しているのはただの3本の輪ゴムだ。

逆立ちしようが何をしようが確かにそこ見えてしまう面を触ることは永遠にできない。

だから、面っていうのは僕らが勝手に見出してしまうものであって、

人の脳が、つい面や直線を見出してしまう(点や線を勝手につなげてしまう)特性がある、

ただそれだけなんじゃないかと思うようになった。

そういう見えないものを想像力で補おうとするから人は面白いんだけれど。 この辺りの話はあの「ピタゴラスイッチ」を作った佐藤雅彦さんなんかの得意分野だ。

少し話がそれたけど、

そんな平面を組み立てているとたどり着かないテンセグリティが、

身体の基本構造かもしれないと言うのには理由がある。

だって、僕らの身体は生まれた時(というか、精子と卵子の時から)から3次元空間に存在している。

羊水の中でどれだけ重力を受けているかはわからないけれど、

常に何らかの力がかかったまま身体は成長する。

描かれた平面から突然飛び出してきたのではなく、生まれたときから生きている。

ここで1つ疑問が湧く。

生きたヒトの身体にとってニュートラルとはなんなのか。

僕らの身体は形が出来てからスイッチをオンするのでは無く、

生まれた瞬間から死ぬ時までずっとオンのまま。

寝ても覚めても、立っても座っても、水に浮いてる時でさえも(たぶんこれが一番力を使わない)、

生きている限りは姿勢を維持するために力を使っている。

だから、身体にとってのニュートラルは、姿勢を維持するために力を少し使っている状態で、

常に20%とか30%ぐらいオンの状態だと考えた方が都合がいいんじゃないだろうか。

そこから極限まで弛めることができるかもしれないし、

極限まで力を入れることができるかもしれない。

ただ、弛めるすぎても力を入れすぎても身体は動かない(動けない)。

(ちなみに、僕らが意識的に動かせない内蔵や心臓を動かすための筋肉・不随意筋も

休み休み24時間365日働いている。)

この生まれた時から3次元空間に生きている人の身体の特性を考えるときに、

立体構造を保つのに常に力が働いている、

しかも重さと引っ張る力のバランスで成り立っているテンセグリティは何かと相性がいい。

僕は、初めて自分で作ったときから、

テンセグリティを見て何とも言えない生き物っぽさを感じていた。

何でこの割り箸と輪ゴムからできているはずの物体に生き物っぽさを感じるのか

ずっと謎だったんだけど、

理由はそんなところなのかもしれない。

輪ゴムと割り箸で身体の神秘に迫る。

馬鹿馬鹿しくって最高だ。

たぶん、身体ってそれくらいの力の抜け具合がちょうどいい。

次こそは、重さも形もある3次元の身体の運動原理みたいな話(の予定)。


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