発酵
醸造 醸成
元の食材を一つ違う次元の旨味をもつ食品に仕立てること。 ある作り手が完成させた製品を使い込むことでさらに味を出していくこと。 この二つに共通するのは不可逆な時間とうまく付き合っていく、「手入れ」という感覚。 この日々の生活と切り離せない感覚は、生活の質的「豊かさ」のカギを握るように思う。
ピカピカの木の床は、毎日丁寧に履き拭きされ、その上を人が歩くことで出来上がっていく。 磨き上げられた古材を買うことはできるが、手入れをする感覚のない人の元ではたちまち劣化して輝きを失ってしまう。
古材もまた、育てることができる。
「成長が止まったら枯れるのが当たり前」 「登ったら下るのは当たり前」 間違ってはいないけれど、それは物事を1つの次元でしか見てないのかもしれない。 程よく成長したらそれを収穫して手を加えて発酵させる。 その結果できあがるのが成熟した社会なんだとしたら、「成長し切った」=「成熟した」とも限らない。
下り坂をそろそろと下る前に、やることがまだまだありそうだ。